いささか遅きに逸したTOEIC対策
1.はじめに(40歳の決意)
TOEICの学習に本腰を入れたのが40歳の時。
過労がたたり、通勤電車で倒れ、病院へ緊急搬送。
病棟でのリハビリ生活で、再起を誓う。この時、いざ職場を追われることになっても、なんらかのスキルを身に付けたいと思った。
病院で出会った初老の紳士は、私にこう語りかけた。
「病院というのは不思議なところです。退院したいと思っても夢が叶わない。それでも、いつまでも入院していたいと思うと出されてしまうんです。」
その彼が、片時も離さず持っていたのが、チャート式英文法という参考書であった。
私もこの病院生活が終わったら、英語スキルを身に付けたいと思った。
退院後、まず、私がはじめたが英字新聞の購読。なにより英字新聞を読むなんてカッコいいと思ったから…。何事もカタチから入るのが私の流儀。読売新聞系のデイリーヨミウリ(現在のジャパンニュース)を定期購読し、私の英語学習の生活が始まった。
次に、高校時代から現在まで「年賀状のやりとり」のあった英語教師のT先生を訪ねた。先生は、高校教師の職を辞し、さる大学で英語講師をされていた。
そこで、先生から「英語学習へ決意した私への贈り物」としていただいた本が、「マーフィーのケンブリッジ英文法・中級編」。
この本を勉強の柱として英語学習を展開していこうと決意。
このころ、私のTOEICスコアは430点。
最初の過ちは、400点台のスコアでは「英字新聞」と「マーフィー英文法・中級編」では、背伸びをし過ぎていた。
もう少し、身の丈にあった教材を使い、TOEICトレーニングの基礎力をつけることにした。私の8年間に及ぶ、TOEIC730点への道のスタートであった。
400点台の私にとって、圧倒的に足りない英語力は、「単熟語と文法」の知識、そこでこれを補うために、
・単語集:
TOEICテスト英単語・熟語マスタリー2000
(旺文社)
・文法書:
マーフィーのケンブリッジ英文法・初級編(Cambridge大学出版局)
を活用し、勉強の主軸に据えた。
さらに、体系立てた勉強の教材が欲しかったので、TOEIC600点を超えてからは、
・アルク通信講座:
TOEIC完全攻略700点コース
を使用して、毎日1時間、勉強する習慣を身に付けた。
その甲斐があって、48歳で目標としていた730点を突破。
40歳(430点)で始めた英語の勉強、8年越しの思いが実った。
これを遅いと感じるかは、読者の判断にゆだねることにする。
絶望の入院生活から、なんとか復帰して、ゆっくり着実に時間をかけて、目標を達成したことは、自分の自信につながった。
独学でTOEIC730点を狙うには、なによりも、焦らず、ブレず、あきらめず、この姿勢が大切である。
2.使用した本と教材の紹介
40歳でスタートしたTOEICの学習、まずは「英字新聞」に手を出した。
しかし、なにより、語彙力が圧倒的に不足していたので、英文記事は「ちんぷんかんぷん」であった。
これでは、いけないと思い、単語力、語彙力を養うために、
・TOEICテスト英単語・熟語マスタリー2000(旺文社)
という単語集を購入、スキマ時間にひたすら単熟語のインプットに努めた。
この本の最大のウリは、この書籍を元に、任天堂DSの英語学習ゲームが市販されていたことにある。DSゲーム機を開いては、ひたすら「マスタリー2000」の4択単熟語クイズに挑戦した。
そもそも英語を勉強する習慣がなかった手前、ポータブルゲーム機を使っての「英語の勉強」というアイディアが斬新であった。
当時は、英語を勉強している姿を人に見られるのが恥ずかしいと思っていた手前、ゲーム機を使っての学習は、効果絶大であった。
語彙力と共に、文法力も不足していた。
T先生からのすすめもあって「マーフィー英文法」の本をいただいたものの、やはり、400点台レベルでは、中級編は難しすぎた。
そこで、身銭を切り、とりあえずマーフィー英文法の「初級編」を買うことにした。この本は、目からウロコであった。
恥ずかしながら、中学生で習ったはずの英文法、40代になって、すっかりと忘れていた。本当に英文峰の基礎の基礎から解説している初級編は、ありがたい存在であった。
一日1ユニット、ミニテストを含めて、この文法書を勉強の主軸に据えた。
1日1時間、机に座り、勉強時間を確保して「マーフィー英文法」による学習。
スキマ時間は、持参したDSを元に「マスタリー2000」で単熟語力の強化をいれた。
そして、TOEIC公式問題集を買い、休日には本番さながらの摸試にチャレンジ。
少しずつであるけれども、TOEICスコアがジリジリと上がりはじめた。
3.通信講座でブレイクスルー
そもそも、TOEICの勉強を決意してから、目標スコアとしていたのが730点。
ところが、600点の壁が立ちはだかった。
マスタリー2000、マーフィー英文法だけでは、この壁を破ることができなかった。
そこで、それまでの学習方法を見直し、会社でも割引斡旋していた、アルクのTOEIC完全攻略700点コースという通信講座を開始した。
その際、1日1時間は、アルク教材に関わる時間が欲しいので、一発奮起して、それまでの「夜型勉強」を「朝型」にシフトした。
会社の始業時間の1時間前に出社して、職場でアルク教材をやることにした。
朝に勉強することで、一日のメリハリがつき、心地よいリズムが生まれた。
もちろん、単語集や英文法も継続していて、600点を前後として、それまでの軸足を、マスタリー2000とマーフィー英文法から、アルク教材に全面移行した。
今にして思えば、そのタイミングも良かったのかもしれない。マスタリー2000とマーフィー英文法で、勉強習慣の免疫ができつつあり、そこに満を持して「アルク教材」を投入したのだから…。
4.まとめ(8年越しのゴール)
そんな甲斐があって、8年越しの思いが実り、晴れて730点を獲得。
ポイントは、
・身の丈にあった本や教材を選ぶ
・壁にあたったら対策を変える
この2点である。
もちろん偉そうなことを言っても、8年間の間には、何度も挫折があった。
今にして思えば、挫折しなければ、8年ではなく、もっと短期間で目標を達成できたのかもしれない。それでも、自分にとっては、8年という「ペース配分」は、決して悪くなかったと思っている。
挫折したり、離脱を繰り返したものの、結局、TOEIC学習に戻ってきた。
そして、そんな経験から、TOEICは、誰でも730点は達成できると確信している。