うえけんのTOEIC劇場

いかにして40歳からのやり直し英語にハマったのか?

英語勉強で「偶然な幸福」を手に入れる方法

英語学習者のセレンディビティ

 私の勉強は、英語に特化していない。

 一日わずかに確保できる勉強時間(たいていは朝)について、本来なら100%英語漬けにした方が、英検準1級やTOEIC800点という目標に達成するかもしれない。

 それはわかっている。わかっていながら、英語の資格のみならず、「貿易実務検定」や「ファイナンシャルプランナー」の勉強にも食指を伸ばしている。

 1.下手の横好きでいい

 当初は、英語でてっぺんを目指すのは、どうも無理ゲーだな…、とおもって、どうしたら自分の個性を「売り」にできるかを考えてみた。

 貿易実務に30年携わっていること、学生時代、民法を専攻して卒業してすぐに「宅建」の資格を取ったことなど、「キャリアの棚卸し」をしてみた。

 英語の資格で頂点(TOEIC満点や英検1級)を目指すより、他のジャンルの横テン(そこそこの資格を取ること)を取った方が、点と点を結ぶことで「面」の広がりを手に入れたほうが良くね?という発想に転換した。

 楽天三木谷社長は、異業種への参入について「横テン」と定義している。

 思えば、ヴァージングループのリチャード・ブランソン氏も、戦略として、あえて業界トップを目指さず、そこその成功で別事業を展開しているという。

 三木谷佐長やブランソン氏を引き合いに出して、自分の弁明を図るのは恐縮であるが、このところ、英語を主軸と起きつつ、あえて違うジャンルの勉強をすることで、考えもつかなかった「気づきの点」が生まれる。その快感が止められず、私も「英語」のみならず、「貿易実務」、「不動産」、さらには「メンタルヘルス」といった、横テンを目指すことにしている。

 2.TOEIC満点者への違和感

 私が、「英語ひと筋」から、異業種への「横テン」に転換したのは、TOEIC満点者との面談がきっかけになっている。

 その人(コンサルタント)は、私の日々の勉強スケジュールについて、「あれこれと手を出すのもいいけれど、まずは、当面目標とする英検準1級に絞になさい」とアドバイスしてくれた。真っ当至極のことである。

 ただ、コンサルタントの方の意見として、「3カ月間は家族に犠牲になってもらいましょう」とか「3カ月だけ朝型から夜型に切り替えましょう」というように、3カ月間だけ「試験を合格するために」これまでの習慣や家族サービスをもいったん捨てて(封印して)、目の前の合格に全力を尽くすべきだ、と言っていた。

 そこに自分では、受け入れがたい「違和感」があった。

 その人は「たった3カ月だけだから」と期間を力説したいたが、私としては、3カ月といえども、家族の犠牲は払いたくないし、朝に勉強する「習慣」は変えたくない。

 なんとか、家族円満で、朝勉・朝活の習慣を継続しつつ、なお、英語資格の目標に達成することはないだろうか?いや、そもそも、そこまでして目標に達成したいということは思わない。

 TOEIC満点保持者(もちろん英検1級取得済)のコンサルタントの方は、どうも、資格自体を目標にしていて、結局、最終的に何を目指しているのか、よくわからなかった。

(お試しクライアントの私の夢を語らせる割には、コンサルタントご自身の夢が、さっぱりとわからなかった)

 「英検はテクニックさえ身に見つければ、なんとかなる」

 これもコンサルタントの人が、事あるごとに語っていたこと。だから、そんな「テクニック」を知らない私のことを「もったいない」と言っていた。

 英語の勉強は、テクニックなのか?

 こうした違和感がぬぐえなくなった。

 手っ取り早くテクニックを駆使して英検に合格、TOEICで高得点を挙げても、「そこに英語への愛はあるのか」と言いたい。

 これは、TOEICか英検かの論争でしばし私が疑問に思うことで、TOEICのマウントを取る方は英検を「趣味の世界」と断じていることに、モヤモヤとした感覚が残ることに近い。英語を愛していrるなら、TOEICか英検か、なんて議論は無意味だろ、と思える。

 こうして、(一応、親身になって相談してくれた)英語コンサルタントであったが、違和感がぬぐえなかった。

 思うに、その人は、英語一辺倒でやってきた方なので、「井の中の蛙、大海を知らず」という状態に陥っているのではないかと、私は思っている。

 3.まとめ(理想はテトラポット

 自分には英語の他、貿易実務に携わった経験、不動産業界のパスポートとされる宅建合格、さらには、メンタルヘルスとの関わりあいがある。

 朝の勉強時間を、英語オンリーに費やすのではなく、あえて他ジャンルを組み込むことにしている。

 たまたま目にした「職業訓練案内」では、宅建・不動産業界の資格として、宅建と共に、ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格も紹介されていた。

 FPの勉強が、目からウロコであった。

 勉強にも「お金と時間」という投資をして、スキルアップという「リターン」を得るという発想は、FPの勉強をして、改めて気づいたことである。

 別に英語オンリーで頂点を目指すのもいいが、少なくても私には、そんな真似はできないし、むしろマルチタスクの方が性に合っていると思う。

 英語と貿易実務と不動産とメンタルヘルスの「四乗」の展開。

 いろんなジャンルで点と点をまき散らすことによって、そこから思いもよらない関係性、方向性が見つけることができる。

 まさに「偶然な幸福」(セレンディビティ)が発芽した状態が生まれる。

 そのワクワク感が病みつきなのである。

 一本足よりは二刀流、そして二刀流よりはテトラポット(四軸)をめざしたい。

 クルマはバイクと違って、地に足をつかなくても「一時停止」ができる。