大切なのはヒト・カネ・トキ
「英検2級を取れば、オレが人事に話をつけてやる」
どうしたら社内海外派遣の推薦ができるのかと(人事に強いコネがあるとウワサがあった)I先輩に相談した。
そしたら、親分肌のI先輩が人事の「その筋」の担当者と掛け合ったらしく、私を北米の海外社内青年視察に派遣するためには、「英検2級以上」がマストであると聞いた。それが、冒頭のセリフであった。
そこから、私の英検2級に向けた戦いが始まった。
この戦いは、約1年近く続き、見事、英検2級に合格、そして、アリゾナ州への短期視察(1週間程度)の社内公募を勝ち取ることができた。
今にして思えば、I先輩には、感謝の言葉しかない。
当時から、日記をつけていたので、英語音痴だった自分が、どうして英検2級までたどりついたのかのか、振り返ることで、今後、挑戦する人のヒントになればいい。
活用したのは、
・英会話スクール
・英語日記(添削含む)
・英字新聞
の三つである。
以下、これらについて、自分の経験を述べていきたい。
1.英会話スクールに入会
いまでこそ独学を進めている私であるが、やはり、社会人のやり直し英語で、英検2級程度のスキルを身に付けるためには、英語のアレルギーを取る意味でも、英会話スクールの入会を勧めたい。
よく英会話スクールは、英検2級やTOEIC600点を目指した中級者向けには不向きだと言われる。週に1回程度、外国人と英会話をしたところで、それが資格の実力にムズ日つかないと…。それは一理あり。
さらに「大手英会話スクール」は料金も高く、講師との人間関係(信頼関係)を結ぶのは難しい。
英会話スクールは、講師の良し悪しによって決まるが、コスパを重視するならば、地元に根差したローカル英会話教室の「トライアル」も何度も試して、「この人となら、勉強が楽しい」と思える先生に出会える機会を見つけてもらいたい。
市民講座や市民サークルなどは格安であるが、試験対策としてどうだろう。
とくに、私は、英会話サークルと並行して、料金が安い市民サークル(社会人英会話)にも参加したが、レベルが高すぎる。自分のような稚拙な英語学習者が、がちがちの「英会話スクール」のメンバーの雰囲気を壊すのも嫌だった。(メンバーの中には、明らかに私の話すつたない英語へのいら立ちを隠せなかった)
そんなわけで、英検2級を目指すためには、まず、英会話スクールに通って、英語を学習するとはどういうことなのか、身をもって体験した方がいい。
私の場合、オーストラリア人(アラブ系)のZ先生との出会いがあった。
Z先生との信頼関係は、第二ステップへの架け橋となった。
2.英語日記に挑戦
そもそも日本語による日記を社会人2年生くらいからずっとつけていた。
せっかく英語を勉強するなら、これを英語日記に代えてみた。
英語勉強指南本によれば、英語日記のススメとして、「英語ネイティブによるチェックが必要不可欠」とあった。
そこで、英会話スクールには内緒で、Z先生に、自分の日記を毎週、提出し、添削してもらうことを願い出た。Z先生は、快く引き受けてくれた。
日記といっても、仕事ではどんな人と会い、どんなことをやった、とか、休日には、何をした、とか、誰に会ってどんな話をした、とか、そんな程度のことである。
当時はスマホもSNSも無かったので、身近な英語で交流するには、Z先生が頼りであった。
3.英字新聞を購読
日記を書くことを英語にしたのと同様、新聞を読むことも英字新聞に切り替えた。
日本語の新聞が好きだったので、その習性を英語に振り分けた。当初、ジャパンタイムズを購読したが、難しすぎて挫折、次にデイリーヨミウリ(現・ジャパンニュース)に切り替えたところ、これは日本語の読売新聞を併読することで記事の日本語が拾えることから役立った。
ロクに読めもしないくせに、英字新聞に身銭を切る。
こうした金は惜しんではならないと思う。
4.がんばる人の存在
英検2級合格を決意してから最初の試験は不合格。そこで、次の英検は手堅く準2級にランクを落とす。目標としていた「青年海外派遣」は、30歳まで。自分はもう30歳になっていた。英検準2級で、小中学生と交じっての受験、何度と英検を辞めようかと思った。しかし、そんな私が「年齢を言い訳にしない」と決意させるきっかけがあった。
久しぶりに帰省したときのこと。駅前の百貨店の垂れ幕には、こんなメッセージが。
「おめでとう〇〇選手、シドニー出場」
そう、私の同級生、陸上で名を馳せていた〇〇君が、当時、開催していたシドニー五輪に出場が決まったのだ。
垂れ幕を見て、すぐに書店を入り、五輪選手名鑑を立ち読み。〇〇選手のコメント欄は、「30歳にして初めての五輪、がんばります」と書いてあった。
俺も、まだ30歳。もう30歳ではない。
こうして面識がない(ただ学校が同じだけ)〇〇君の存在が、また私を英検2級の主戦場に引き戻した。
もちろん、私も〇〇君も通ったK高校には、私のブログに何度も登場するT先生という英語の恩師がいる。
自分が30歳にして英検を勝ち取り、T先生へ喜びの手紙を書きたい。
そんな思いから、勉強のモチベーションをアップさせた。
5.最後に…(英検2級合格)
そして、30歳最後の英検2級挑戦で合格。
これまで関わったすべての人たちへの感謝の言葉しかない。
英検2級を目指すきっかけのI先輩。
スクールには内緒で日記添削したZ先生。
30歳でオリンピアンになった〇〇選手。
合格の知らせを最初に伝えたT先生。
いろんな人からの協力や励みが、結果として身を結ぶことになった。
英会話スクールや英字新聞に金を惜しんではならない。
学習時間を、可能な限り確保すること。
英検2級合格には「ヒト・カネ・トキ」が大切である。