期待を裏切るアルクTOEIC完全攻略900点コース
TOEICの本番では、英米加豪の四カ国語にスピーカーによるリスニングが行われる。
当然、TOEIC対策講座は、この四カ国に焦点を当てた作りになってもらいたい。
しかし、5カ月目にしてその思いは裏切られた。
アルクTOEIC完全攻略900点コースの「プロジェクト18」の欠員補充のテーマで、中国系のウェーリー・チェン氏の会話を聞き取らなくてはならないのだ。
しかもテキストには「ウェーリーの話す英語はかなり癖がある」と解説している。
この事態に遭遇して、私はメラメラと怒りがわいてきた。
別に、チェンさんには個人的な恨みはないし、英語を話せば、かなり癖があったとしてもそんなことはどうでもいい。
ただし、私が、この教材の身銭を切ったのは、5点でもいいから、TOEICスコアを伸ばしたいからである。
そのために、リスニングの練習は、TOEICで使われる英米加豪の四カ国に絞って、展開してもらいたいのだ。
もちろん、TOEICで高得点を獲得したら、米英加豪の四カ国の癖だけでなく、世界中の英語スピーカーの癖に慣れておかなくてはいけない。
でもそれは、TOEICの目標を達成してからの話であって、なんでTOEIC完全攻略と触れ込む教材にチェンさんのような「癖のあってわかりづらい発言者」をわざわざ想定しているのだろうか。
思えば、TOEICの本番スピーカーにそれぞれ癖の聞き分けができるようになったのは、最近のことである。
TOEICの勉強を始めたころは、とにかく、リスニング発言者の癖の違いは、まったくわからなかった。
それが700点レベルになったころから、それぞれの癖が理解できるようになった。
特に、オーストラリア人男性の「わかりにくさ」が際立ってきた。
カナダ人男性の「カロリー」とか「プロティン」とかを発言する際の甲高いトーンで鼻に付く独特の口調もなんとかく理解できた。
そんなわけで私は、TOEIC対策を兼ねて、リスニングは、英米加豪の4カ国に焦点を絞って本番に備えたないのである。
TOEIC対策を謳う、アルクの対策通信講座が、チェンさんの癖のある英語を前面に押し出されてしまうと、なんというか「裏切られた感」が募るのである。
メディア・ビーコンさんの動画で、TOEIC800点前後で伸び悩んでいる人には、英検準1級のトレーニングをすることを勧めていた。
試験の目先を変えることで、マンネリの脱却と、新たなモチベーションを得ることによって、TOEICオンリーよりも、英検をかませることによって、「急がば廻れ」方式で、TOEIC自体のスコアを上げてしまおうという目論みを提唱している。
大いに納得する意見であった。
でも、そんな時にでも「文法の勉強」と共に、「カナダ人、オーストラリア人のリスニングのトレーニング」だけは継続してやることをすすめていた。
なぜなら、英検準1級には文法知識を問う問題も無いし、加豪のスピーカーによるリスニングも無いことから耳を慣らしておく必要があるという。
何が言いたいかといえば、限られた時間のTOEIC対策では、実際にTOEICに使われる、英米加豪のスピーカーによる練習に専念したいのが私の気持ちである。
チェンさんには悪いけれど、「癖のある英語」を何度も聞いて理解する意味が、TOEIC対策という面だけでみれば、本当に必要なのか大いに疑問である。
これまで絶大に信頼を置いていたアルクのTOEIC対策通信講座であるが、チェンさんが登場する一件では、なんというか、失望に近い感情が沸きあがっているのである。
とはいえ、アルク教材は、1日1課をこなすボリュームでまとまっており、独学でTOEIC対策をしようとする私のような人間にとっては、有益な教材と言える。
……最後は、TOEICの問題文っぽく結んでみた。