ビートルズ英語はTOEIC不向き?
TOEICのリスニングテストでは、四カ国の男女による音声が流れる。
親切にも公式問題集などを見ると、実際の出題スピーカーの国が国旗と共に紹介されている。
1.出身別リスニング対策は必須?
勉強を始めたての頃(TOEIC400点台)、この出身国スピーカーの区別がまったくといっていいほど、わからななかった。
しかし、人間というのは不思議なもので、トレーニングを続けると、(正解の選択肢はわからなくても)発言しているスピーカーの出身国は、わかるようになる。
雑記などを読んでみると、一応、「オーストラリア」の発言者は、会話が口ごもる傾向にあるので、難解だとされる。
たしかに、オーストラリア人と思しきTOEIC公式スピーカーは、早口で、ゴニョゴニョとしゃべるので、他の三者に比べて聞き取りにくいのは事実である。
私は、公式スピーカーのうち、カナダ男性を「プロテイン男」と呼んでいる。
これは、公式問題集のひとつで、彼が「プロテイン」という単語を発するとき、とても印象深い(ちくのう症気味?)アクセントを使うからである。
もうひとり、イギリス人女性を「ラザニア女」と呼んでいる。
これも、とある問題で、「ラザニア」と発言するときに、「ラッザぁ~にゃ」と、日本人の耳からすると奇妙な感じが聞こえるからである。
2.ビートルズも”英国系”では?
ネイティブスピーカーの出身を聞き分ける。
なんで英語の出来る人は、その感覚に自分がついていけないな、と、思ったけれど、これもトレーニングを積むと聞き分けができるようになる。
TOEICのリスニング問題を中心に据えて、英語の学習をすると、TOEICの英語が、とてもクリアに聞こえて、最近では耳が慣れているように感じる。
別に英語の発言に関して、ネイティブスピーカー信仰があるわけではない。
TOEICスピーカーが良くて、ノンネイティブがダメだと言いたいのではない。
けれどもBBCのワールドニュースなんて聞いていると、やはり、TOEIC公式スピーカーを母国語とする英語と、そうでない国々の人たちが話す英語とは、なんとなく、違いを感じてしまうことがある。
英語のお国訛りを感じるなんて、英語の再勉強をはじめたころには考えもしなかったことである。
かつてNHKの”国際派”キャスター、平野次郎氏が、ビートルズのインタビュー映像の後で「彼らの英語は訛りがひどいので、日本の英語学習者は参考にしない方が良い」みたいな趣旨を言っていたことがある。彼のそのキザな言い草こそ、私には耳障りであったが、(もちろん、当時の私は、ビートルズの訛りが分からないので、平野氏の語学力にやっかみを感じていたのも事実であるが…)
英語学習を進めてきたことによって、最近では、私もやっと、平野氏の言わんとすることがわかるようになった。
蛇足ながら、メンバーのひとり、ジョージ・ハリソンの初期の頃の映像などを目にすると、「やはりこれが訛りってやつかな?」なんて思ったりもする。
3.車掌とオノ・ヨーコの英語
最近、電車に乗っていると、時折、車掌さんが必至になって英語のライブ車内放送を耳にすることがある。正直、これを聞くと「複雑な気持ち」にさせられる。
英語がちょっとできるからって、いい気になるなよな、と、自戒の念を込めているが、自己嫌悪や近親憎悪を持ってしまう。
JRの車掌さんが話す英語と、TOEIC公式スピーカーの話す英語に、決定的に違う「差異」の正体はなんなのだろう。
日本人が話す英語を嫌悪しているわけではない。
それが証拠に、ビートルズのファンである私は、オノ・ヨーコの話す英語には、まったく違和感を持たない。
彼女が、ネイティブとそん色ない「流ちょうな英語」を話しているかといえば、そうではない。オノ・ヨーコの話す英語は、たしかに、紛れもなく「日本人が話す英語」に聞こえる。
JRの車掌さんの英語と、オノ・ヨーコの英語では何が違うのだろう。
やはり、義務や強制で英語を発信するのではなく、英語というツールを使って、伝えたいことがあるからではないだろうか?
つまり、コミュニケーションにおける「情熱」の違いではないだろうか?
これは、日本人の英語学習者にとって、とても示唆的なことである。
4.まとめ(TOEICと日本人)
大切なのは、TOEICスピーカーの出身国がどこかではない。
「英検を勉強する人と違い、TOEICを勉強する人は、オーストラリア人の話す英語のトレーニングもせよ」
こういうアドバイスを何度も耳にしたこともある。
わかちゃいるけれども、なんとなくこういう対策方法を聞くたびに、心の中にモヤモヤを感じるのは、私ひとりではないはずだ。
とはいえ、とにかくグダグダと駄文を並べる前に、TOEICで高得点を上げたい。
そして、目標スコアを達成したら「その先にあるもの」について考えてみたい。