たったひとつの「劇薬」
TOEICの勉強が嫌になる。
公式問題集も「解答」を暗記している。
金のフレーズも何度やっても覚えられない単語がある。
文法問題でる1000問も何巡もやった。
それでも800点の壁を越えられない。
700点台をうろちょろ…。
日々の学習もマンネリ気味。
まさに今、私の置かれている状況である。
そんな「TOEICの壁」にぶち当たってる人への良薬はただひとつ。
それは英検準1級にチャレンジすること。
1.社会人こそ英検を
学生でもあるまいし、今さら英検もないだろう…。
そう思う人も多いかもしれない。
しかし、英検準1級ともなれば、大人の受験生が多い。
会場の年齢層もTOEICとさして変わらない。
英検は学生向けというのは誤解である。
TOEICに手詰まりを感じているのなら、ぜひ目先を変えてもらいたい。
せっかくTOEICの勉強を続けているので、ここでの挫折はもったいない。
いったんTOEICを離れて英検にチャレンジしてみてはどうだろうか。
そこで、英語資格試験に対して「複眼」を持つことができる。
英検を受験することで、TOEICに復帰した場合の相乗効果は抜群である。
これは私の体験から言えることだが、TOEIC対策ばかりやっても芸がないので、娘の英検挑戦を期に、自分でも英検を受けてみた。
そしたら「目からウロコ」というか、英語に対する前向きな気持ちになった。
英検準1級対策をメインに据えて、もちろんTOEIC試験も受けた。
英検は不合格だったが、TOEICは自己ベストを達成した。
ただし、「英検不合格」は不名誉なことなので、現在、リベンジに燃えている。
TOEICという本流に対し、英検という寄り道は決して無駄ではなかった。
2.英検でリフレッシュ
TOEIC受験者に英検をすすめたい。
それは、2つのテストが「つかず離れず」という関係にある。
TOEICをやり込んでいる人が英検に軸足を移行した場合、戸惑うことは三つ。
・圧倒的な語彙不足
・広範囲にわたる読解知識
・筆がすすまない英作文
これは、TOEIC対策ばかりやっていた人の英語のウィークポイントとなる。
結局、英語全般に対しての土台がしっかりしていないから、TOEIC本番で、初めてチャレンジする出題に対処できない。
TOEIC公式問題集ばかりやっていて高得点をたたき出しても、本番試験では、意外と低いスコアに沈むのは、こういったところに原因がある。
まずもって「語彙力」が不足している。
TOEICの「金フレ」だけでなく、英検準1級の「でる順パス単」をすすめたい。
「でる順パス単」の場合、すでにわかっている単熟語と、これから覚えるべき単熟語の区別が必要になってくる。
(すでに理解ができている語彙に時間を割くもは、得策ではない)
そこで、簡単にチェックする方法として、「でる順パス単」の別冊である、「書き覚えノート」をやることを勧めたい。
この「書き覚え」で、次頁のチェック問題で「不正解」だった語彙は、まだ、覚えていない単度である。それを「出る順パス単」にチェックをし、スキマ時間などを活用して頭に叩き込むことである。
次に読解問題。
ビジネスシーンに特化したTOEICに比べ、英検は、人文、歴史、科学、テクノロジーと多岐にわたる。ここが、TOEIC慣れしている人にとっては、厄介なものである。
でもそうしたマイナス面は、考えようによっては「伸びしろ」でもある。
特に、歴史や科学は、TOEIC問題ではまずお目にかかることができない。
だからこそ、テスト問題としてのみならず、「読み物」として興味が湧く。
TOEIC一辺倒の時は、英字新聞では社説くらいしか読んでいなかった私であるが、英検対策にシフトした以降、英字紙を俯瞰して、まんべんなく内容を読むようになった。
そして、科学・エコロジー欄などを(社説とともに)注視するようになった。
TOEICだけでは見えなかった風景がそこに広がったのである。
こうした視点の変化は、英語学習にとっての活性化につながる。
TOEIC学習者にとって、英検トレーニングは「新鮮味」がある。
さらに英作文について。
TOEICとの大きな違いは、英検には一次試験でライティングがあること。
(二次試験までいけば、同様にスピーキングがある)
英作文は簡単なようでけっこう手ごわい。
題目は社会問題の賛否を問うもの。
論旨の良し悪しではなく、「書き物」として、英語総合力が判定される。
過去問題の解答例などを見ると、シンプルかつ読ませる文章の工夫がある。
結構、わかっているようで、いざ鉛筆を握るとこれが難しい。
全問マークシートのTOEICと違い、英検の英作文はテストの肝である。
3.まとめ(TOEICへの帰還)
リスニング試験についてもTOEICと英検は似て非なり。
TOEICのリスニングが得意であれば、ある程度のコツはつかめる。
ただし、英検は、より日常に則した会話であったり、それとは逆に、学術的、論理的な指向も伴うつくりになっている。
イレズミをした男は娘の彼氏にふさわしくないと嘆く父親。
アップルコンピュータ創設者、スティーブ・ジョブズのマーケティング戦略。
こうした多種多様な話題や背景は、英検の特色でありTOEICの比ではない。
「ビジネスの世界ではTOEICの評価が唯一」
「英検なんて時間のムダ」
こういう話を聞くと胸が詰まる。
TOEIC学習でいちばんもったいないのは「挫折」である。
TOEICが嫌になった場合、いかに延命措置を考えるか?
英検こそTOEIC学習者にとって福音である。
マンネリの打破と初心回帰。
TOEICが嫌になったら英検に挑戦しよう。
再びTOEICにチャレンジする日のために…。