うえけんのTOEIC劇場

いかにして40歳からのやり直し英語にハマったのか?

TOEIC対英検・社会人の英語資格はどっち?

学生なら英検、社会人ならTOEICは真実か?!

 「英語の勉強を始めたいのですが、英検とTOEIC、どっちがいいですかね?」

 この手の質問を若手社員から受けることがある。

 私の答えは、質問者の状況によって変えている。

 ざっくり言えば、英語の免疫力がある人(中級者以上)には、TOECを勧めている。

 一方、これまで英語とは無縁だった人、英語の資格を受けたことがない初心者、入門者には、英検(たいてい3級)をすすめている。

 これは、TOEICと英検の特色の違いに起因している。

 1.はじめに(ビギナーは英検を)

 英検が「階級制」であるのに対して、TOEICは「無差別級」である。

 TOEICでは、初心者から上級者まで「同じ土俵(テスト)」で勝負しなければならない。英語試験に「小慣れ」「場慣れ」している人ならいいけれども、かつての私がそうだったように、いきなりTOEIC挑戦は、その圧倒的なボリュームに打ち負かされ、「英語嫌い」を量産させる可能性がある。

 だからこそ、「社会人は英検なんてやっても意味がない」という意見には、ちょっと意を挟みたい。

 要するに学習者それぞれ事情が異なる。

 TOEIC派の人が「英検は趣味の世界」といって距離を置くのもどうかと思う。

 2.おとな英検のススメ

 「学生なら英検、社会人ならTOEC」との区分けが多く聞かれる。

 ある意味で、真実である。

 英検ならば、高校受験や大学受験の「推薦枠」や「内申点」に加味される。

 英検、TOEICのどちらのテストもかかわってきた人間からいわせれば、さすがに学生が進学にTOEICが有利だという話は聞いたことがない。

 中高生ならば、英検3級くらいから始めて、準2級、2級と徐々にステップアップするのが良い。

 進学塾でも英検受験を進めているし、本番の入試に向けて、一斉テストの緊張感を生むのが良い。

 なにしろ英検の良いところは、(TOEIC L&Rテストに比べて)、英語力の「読む」「聴く」「書く」「話す」の四技能がまんべんなく出題させることになる。

 英語に対しての総合力が問われ、テクニックである程度なんとかなるTOEICよりも、英語の土台がしっかりと身に付く。

 学生さんであれば、「英検一択」である。

 問題は、社会人である。

 「英検なんて遠回りをしないで、はやくTOEIC対策に着手して結果を出す」

 これも一理あるのだが、多くの英語学習者の挫折を目にしてきた私からいわせると、英語嫌いを生む温床が「TOEICテスト」ではないかと思っている。

 私もTOEICテストがゲームのように面白いと感じるようになったのは、600点を突破したあたりから。

 それまで、400点台が続き、英語のできる人が、やれ900点だのなんだのと耳にするにつけ、英語の勉強は「苦行」でしかなかった。

 少なくとも、英検のステップアップに軸足を据えるべきであったと後悔している。

 だから英語学習ビギナーの社会人には、TOEICよりも英検を進めている。

 「学生でもあるまいし今さら英検なんて…」

 そんな感想を持たれるかもしれない。

 けれども英検3級の実力がない人が、TOEICに挑戦したところで、それこそ意味があまりないように思える。

 英検3級にチャレンジして、学習の早いうちから「合格の喜び」を知るべきである。

 そして、準2級、2級とステップアップ。英検2級を取得してから、TOEICに転向してもいい。言いかえれば、英語学習者は、英検2級がマストアイテムである。

 以降、英検準1級に進むべきか、TOEIC600点、730点に進むべきか、それこそ個人の「好み」によって決めればいいと思う。

 注意を要することといえば、英検本番の雰囲気である。

 英検3級の受験者は子供ばかりで、大人の受験生に自己嫌悪になるかもしれない。

 しかし、それが今の自分の「英語の身の丈」だと割り切ろう。

 だれだってはじめま、雑魚キャラなのだから…。

3.されどTOEIC向きの人は…

 学生時代に英検をすでに取得している人は、TOEICの高得点を目指そう。

 そもそも英語に関心のある人なら、若いうちに英検にかかわっている人が多い。

 留学経験を含めて、英語が得意だった人、英語のアレルギーが無い人にとっては、TOEICにチャレンジしてみよう。

 TOEICの真骨頂は、自分のスコアがビビットに数値化されること。

 スコア偏重には、多くの批判があるものの、実際、現時点での自分の英語力を客観的に評価できるので、これを利用しない手はない。

 TOEICが高得点なのに英語ができない人がいる、という批判がある。

 しかし、TOEICと実際のビジネス英会話シーンは別モノであるにせよ、それは、慣れや経験の問題である。

 TOEICの中上級者(スコアでいえば、730点以上)にとっては、英語の土台がしっかりしていることは明白である。

 ビジネスシーンで英語が使えないのは場数が足りないだけである。

 むしろ問題なのは、英語ができると自負しているにもかかわらず、プライドばかり高くて、TOEICを受けない人、これこそが厄介な存在である。

 TOEICは研修や海外派遣の選考ツールとしても公平な基準である。

 明確な目標があるのなら、TOEICに軸足を据えて、英語の勉強をすれば良いと思う。

4.まとめ(英検か?TOEICか?)

 結局、社会人の英語学習者にとっては、英検が良いのか?TOEICが良いのか?

 その人の能力や目標によって異なる。

 ほとんどの会社は、英検よりもTOEICの方に重きを置いているのも事実である。

 昇進や転職、キャリアップを考えている人はTOEICが向いているだろう。

 ただし、TOEICは、英語勉強を挫折者を生み出す温床にもなっている。

 英語というのは、短距離走ではなく、どちらかといえばマラソンである。

 長期的戦略(つまり英語勉強から離脱しない方策)を考えると、まずは、英語が気になるビギナーや初級者レベルの人には、あえて英検を進めたい。

 ちなに私は、ここ10年ばかりTOEIC一辺倒だったが、800点の壁にぶち当たり、気分を変えて「英検準1級対策」に転向している。

 英検対策に復帰したことで、TOEICだけでは見えなかったことがある。

 英検かTOEICかという一択ではなく、英検もTOEICという複眼思考が大切である。

 ただし、英検とTOEICの二刀流は、言うは易し行うは難し。

 自分の優先度をはっきりさせておこう。